第2章 合宿前日
(って!なに感傷的になっているんでしょう…?!)
桃は自分が考えていたことが恥ずかしくなって、逃げたくなった。
そぉっと体育館から出ようとする。
が、
「不審者…」
「!?え、どこに?」
「いやお前だよ!」
ゆっくりと声のする方を向くと、やはりそこには黒尾と孤爪がいた。
「なに挙動不審になってんだよ!」
黒尾がゲラゲラと笑い出す。
「どうしたの…?」
対照的にオドオドとする孤爪。
「ううん、大丈夫ですよ…!気にないで!」
「悩みがあるなら言えよ!」
「おれたちが力になれるなら、助けるから…」
幼なじみの言葉が桃の心にスーと染みる。
「ありがとう、2人とも。……帰りましょうか。」
桃が微笑む。
それは『王女』の名に恥じない美しい笑顔だった。
「「っ…!」」
2人に背を向けた桃は、2人の顔に赤味が指したのに気がつかなかった。