第14章 彼と私の終着点
夏も終わりに近づき始めた頃、珍しく征十郎が私の家へやってきた。
「どうしたの?」
合宿以来、私は暫く入院していた。夏休みを半分以上は消費してしまった悲しみで引きこもっていたのを知ってか知らずか、彼はいつもの澄ました顔で二枚の紙を私に差し出した。
「君に怪我をさせたのは、俺のせいもある。よかったら受け取ってくれ」
「……遊園地のチケット?」
「訳あって貰ったものだが、俺は使い道がないからね……有栖にあげるよ」
「いいの? だって、これ無料券だよ?」
「言ったろう? 使い道がないと。誰か好きな相手でも誘って行くといい」
「好きな相手と……」
「相手がいないなら、一緒に行こうか?」
「……い、いるもん! 相手くらい!!」
見栄を張ってはみたものの、そんな相手がいるはずもなかった。
「合宿以外、何処にも出かけていないんだろう? ならそれを使って出かけるといいよ」
「そっか……なんか、わざわざありがとね」
「どういたしまして」
「……ねぇ」
「ん?」
「……あのさ。一緒に行かない?」
「何処にだ?」
「遊園地に、だよ」
使い道がないというのなら、いっそのこと一緒に行ってしまえばいいだけの話。私は私で出かけられるし、征十郎には使い道が出来るわけだし! 一石二鳥じゃない?