第13章 君じゃなきゃ
視界さえも崩れ去り、足元を失えば自然と身体の自由も奪われていく。落下した先に待っていたのは、堅い地面と落下した衝撃で痛めた肩の痛みだった。
「っ……!!」
しまった、強くぶつけてしまったかもしれない……っ。
「いっ……たぁ……さい、あく」
なんとか起き上がると、落ちた方を見上げた。ああ、なんてことだ。足元が悪くなって気付かなかったが少し崖になっていたらしい。登れなくはない高さだが……今の私で登れるだろうか?
手を伸ばしたところで、肩に激痛が走る。
「くっ……! ああ、もうっ」
肩をぶつけたせいで、痛くてどうにもよじ登れそうにない。嘘でしょ? こんな山の中で……。頭上からは未だ止まない雨が降り続け私の身体を濡らす。体温さえも奪われ始め、このままではまずいことが流石の私でも瞬時に理解できた。