第5章 数センチの距離
夏の暑さが肌を刺激し、同時に水が恋しくなる。プールの時期に入った今は、学校の体育の授業に組み込まれている。穏やかな水の上、ぷかぷかと漂っていたらさつきちゃんが近寄ってきた。体育は基本合同だから、さつきちゃんとはよく体育で一緒になる。
「ねぇねぇ、有栖ちゃんってさ……気になる人とかいないの?」
「き、気になる人!?」
バランスを崩して、水中へと沈む。すぐに浮上して、少し飲んでしまった水にむせてしまう。
「ご、ごめん大丈夫!?」
「ごほっごほっ……うん、大丈夫!」
「その様子だと、少しくらい心当たりはあると思っていいのかな?」