第2章 幼馴染の彼と私
「これをやるから、機嫌直せ」
「私そんな顔してた……?」
「ああ、してた。俺に向かって、いい度胸だよ」
「征十郎だからだよ」
そう微笑めば、征十郎は視線を逸らして紙パックを押し付けた。中身は私が昔から好きな、カフェオレ。
「今日の放課後、バスケ部を見学しに来ないか?」
「珍しいね、征十郎からバスケ部の話が出るなんて」
「ただの気まぐれだよ。紫原にも会えると思うけど?」
「(敦君に、か……)」
一瞬悩んでみる。けれど、そういえば今日は図書館で人と勉強をする約束をしたいたことを思い出す。
「ううん、嬉しいけど今回は遠慮しておく。今日は図書館で勉強の約束があるんだ」
「友達とかい?」
「友達というか、うーん。まぁ、図書館の常連同士、少し仲良くなった程度だよ」
「そう……。でもいずれおいでよ、きっと見てるだけでもうちのバスケ部は楽しめると思うよ」
「運動苦手だから、どうせ見てることしか出来ないけど」
ああ、そういえばこんなことをしている場合じゃなかった。
征十郎に再度お礼を口にして、私はもう一つ飲み物を買うべく自販機へと急いだ。教室に戻った頃には、真っ黒子様が暗黒の微笑みで私を待ち受けていたのは、言うまでもない。