第16章 相合傘
優しく私の頭を撫でて、泣き続ける私の傍にいてくれる。青峰って変なやつ、嫌味なこと言ったと思ったらこうやって優しくするし。でも、私はそれに甘えているだけなんだよね。
「泣くほどのことがあったんだろう? どうした、泣いててもなんもわかんねぇだろ」
青峰の困った声が聞こえる。きっと、困惑した顔でもしてるんだろうな……そう考えているなんて冷静だな、私も。
顔を上げて、涙を拭う。確かに、泣いてても何の解決にもならない。
「目が兎みてぇに赤い」
青峰の親指が、私の目元を拭う。
「青峰ってお兄ちゃんみたい……」
「あ? お前に兄貴とかいんのか?」
「いないよ。いたらこんな感じかな? って」
「誰がお前みたいな泣き虫な妹いるかよ」
そう言って彼は笑う。私もつられて笑ってしまう。なんか、また助けられた気がする。合宿の時もそう、私って……敦君のことでいつも青峰を困らせてる気がする。