Do not look back behind【進撃の巨人】
第2章 自分の足で
「ハァ…俺も探してやる。少し休め。」
そう声をかけるがハンナは聞こえていないのか、再び瓦礫に手をつける。
「おいっ!」
無視されたことに腹が立ち、無理矢理にハンナの腕を引く。
ッ……。
こちらに向いた光の無い瞳からは、ポタポタと涙が零れ、耐えるように小さく唇が歪んでいた。
瞬間、忙しさで忘れようとしていた仲間達の顔が浮かぶ。最後まで自分を慕い、自分に思いを託し死んでいった彼ら。
泣くことさえ出来ない自分とは違い、自然と涙を流すハンナに居た堪れない気持ちになり、力強く抱きしめる。
「泣きたいなら泣けっ!だが仲間と同じぐれぇ自分を大切にしろ。そいつらはてめぇが傷ついても悲しまねぇのか。」
胸の中で小さく震えだすのを確認すると、リヴァイは小さくため息をつき、らしくもなく優しくハンナの背中をさすっていた。
しばらくするとハンナは落ち着きを取り戻したようで、俯いて動かなくなった。
「…これで全員か?」
ハンナの横に並んだ小さな遺体を横目に見る。
「……まだ。」
先ほどから泣きやんだかと思えば何も話さなくなり、何を聞いても一言しか返ってこない。