第2章 少年
「こら待て!この泥棒!!!!!!!」
清々しいほどの青空に八百屋の店主の怒鳴り声が響きわたる
ボロボロの着物を着た男は手に野菜を持って江戸の町を駆け抜けている
「はははは!この俺に追いつくものなどだれもいねーよ!」
調子に乗った盗人は勝ち誇ったような顔をして軽い足取りで走っている。
そんな盗人に腹を立てた八百屋の店主は大声で叫んだ。
「誰か捕まえてくれ!報酬はやるから!」
その言葉にピクっと反応した少年が一人。
次の瞬間少年は人混みをかき分けて路地から表へ出るなり、人とは思えないほどの早さで風をきり盗人の前方へ回った。
「ひええっ、化け物!」
腰を抜かして動けなくなった盗人はその場にいた町人に取り押さえられた。
観衆から歓声が上がった。
その際少年は取れかけていたフードを深くかぶり直した。
そこへ後からひいひい言いながらやっと追いついた八百屋の店主が
「ありがとうございます!ありがとうございます!あなた様にはどのようなお礼をしたら良いか…あ、そうだ名前!お名前だけでもっ…!」
少年の細い手を握り、深々と頭を下げて礼を言った。
「いえいえそんな。名乗る程の者ではありませんよー。」
少年は店主の手を引きはがしながら微笑んだ。
「僕はそんなお礼の言葉なんていらないですよ。ただーーーーーー…」
「ただ?」
「報酬はなんですか?」