第4章 報酬
「いたぞ!」
途方に暮れている玲の耳に入ってきたのは男達の声。昨日の出来事から一部の人に顔を見られてしまった玲は、その容姿を悪用しようとしているタチの悪い輩にも追いかけられる始末だ。
「まじか…」
流石にここで見つかって騒ぎになってしまったら大変だ。
これから身を隠す場所を探そうと思っていたのに…。
ブンッ!!!!!!!
何処へもぶつけ用がないこの苛立ちを手に持っていた人参に込めて野次馬に向かってすごい勢いで投げる。
「ぐおっ!?」
玲の手を離れたその人参は見事に相手の急所へと突っ込んでいった。
「やだ僕天才」
まさか当たると思っていなかったものが命中して驚きと嬉しさでつい口に出てしまった
「てめぇよくも!!!!!!!」
怒りをこらえられなくなったその男の仲間が次々と拳を振り上げてこちらへ走ってくる。
そんな屈強な輩の攻撃を息一つ乱すことなくかわす少年をみて目を丸くする男達。
「ごめんねおじさん。僕に遊んでる時間なんてないんだ。」
「なっ!?」
そう聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いたかと思うと、次の瞬間には男達の前に少年はいなかった。消えたのだ。
正確に言うと玲は男の隙を見て自身の身体能力の高さを利用し、目に見えないほどの速度で建物の上に飛び乗ったのだ。
「こっちだよ」
呆気にとられている男達の頭上から、玲ははっきりと、嘲笑うような、弄ぶような声で呼び掛けた。
ヒュンッ
乾いた音が風を切った
かと思うと
グサッ
「う、うわあぁぁぁぁぁあ!?」
玲が放った針が一人の男を仕留めた。もがき苦しみながら倒れ込んでいく姿を見るとそれは毒針のようだ。
次の瞬間、大量の針が飛んできた。逃げる隙を与える間もなくその場にいた輩は全滅した。その惨劇を一人、玲は先ほど飛び乗った建物の上から眺めていた。その手にはまだまだ多くの毒針が握られていた。
フードが取れて顕になったその姿は、陽の光を背に浴びて誰が見ても見とれてしまうほど美しく、妖しく、少し淋しげに輝いていた。