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【R18】夏だ!花火だ!夏祭りだ!

第2章 海





「紳一」


遠い海の向こうに決意を固めていると、ハヅキが小瓶を拾って戻ってきた。
いったい何が入っていたのだろうか、手のひら程度の大きさの瓶。

「紙とペンある?」
「あるが、どうするんだ」

「大好きな人へ、メッセージを書くの」

いったい何を言い出すのかと思ったが、鞄から大学ノートを取り出して1ページを破り、ボールペンと一緒に渡した。

「オレへ何を書くんだ?」
「あ、自信過剰! 自分が私の大好きな人だと思っているんだ」

口の減らないところまで兄譲り。
そんなところも可愛くてたまらないのだから、自分の骨抜き加減に失笑する。

「すまん。じゃあ、その“大好きな人”に、何を書くんだ?」
「内緒! それを本人に言ったら意味ないもん」
「やはりオレへのメッセージじゃねーか」
「うるさいなー」
頬を膨らませながら、何かを書いた紙の切れ端を瓶に詰める。
そして手渡してきた。


「これ、なるべく遠くに投げて」
「オレがか?」
「うん。スリーポイント決める時みたいに、高く弧を描くようにね」

もう言われた通りにするしかない。
これも惚れた弱みっていうやつか。

牧はハヅキの要望通り、力いっぱい小瓶を投げた。


輝く水平線へ向かって描かれる弧は、まるで牧と夢を繋ぐ架け橋のよう。


小瓶の中に入った手紙に書かれた文字。



“ ずっと見つめているから、走り続けて ”



牧への溢れる想いと一緒に、海を渡って行く。
いつか、誰かの手に拾われる頃には、夢が叶っているのだろうか。



そして、晴れ晴れとした表情でそれを見つめる牧もまた、



“ ずっと走り続けるから、見ていて欲しい ”



言葉にしない想いを抱え、ハヅキの手を握った。






第2章 『 海 』 Fin.





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