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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第83章 諦めない








復讐を遂げたはずなのにエルヴィンの心は晴れず、
痛みを忘れようと仕事に没頭する日々が続いた。



そんなある日の三時頃、リヴァイ、ハンジ、ミケ、ナナバが
エルヴィンの執務室へやってきて、お茶を飲もうと誘った。


エルヴィンは「そんな暇は無い。飲みたければ食堂に行け」と
冷たくあしらったが、リヴァイが茶器が仕舞われている棚から
ナナシの使っていたガラス製のティーカップを取り出したので、
思わず声を荒げる。


「それに触るな!リヴァイ!」


ガタッと椅子から立ち上がったエルヴィンはリヴァイから
ティーカップを奪い取り、そっと元あった場所に戻す。

これはナナシが残した数少ない品なのだ。

気丈に振舞っていても明らかに憔悴しているエルヴィンに、
リヴァイは渾身の蹴りを入れて一喝した。


「良い加減にしやがれ、クソ野郎!そんなんでこれからも
調査兵団団長をやってけると思ってんのかっ!?あぁ!?」

「・・・・・・・・・」


何も言い返さなないエルヴィンにリヴァイは舌打ちすると、
ナナバにティーカップを他の所から持ってくるように指示し、
ドカリとソファに座った。


「俺達はてめぇからあの時の事を聞かず、一ヶ月待った。
今日はあの時何があったのか俺達に説明しやがれ」


ナナシがエルヴィンを庇って銃弾を浴びた事は
調査兵団の兵士全員に通達されていたが、
容態やどこにいるかは伏せられていた。

時折部下達から「教官の怪我の具合はどうなんですか?」と
尋ねられるが、リヴァイ達も知らないので曖昧に言葉を濁して
躱し続けている。




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