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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第82章 涙










憲兵団に犯人の身柄を渡したものの、
信頼のおける調査兵を数人牢屋に配置し、
エルヴィンは一度宿屋に戻った。

血で汚れた服を着替えるためと、憲兵団宿舎に居座り
長丁場に備え荷物を纏める必要があったからだ。

一般の兵士はこのままこの宿に残るが、
幹部達もここを離れ憲兵団宿舎に泊めてもらう。

そう宣言した時、ナイルは顔を真っ青にさせて抵抗したが、
エルヴィンは持ち前のゴリ押しと脅迫で何とか承諾させたのだった。




荷物を持ち階下へ向かう途中、ふと思い立って
ナナシが寝泊まりしていた部屋に足を向けた。

同室のモブリットが彼の荷物を整理してくれているだろうが、
それは自分の仕事だと思い扉をノックする。


予想通り、モブリットがナナシの荷物をトランクに詰めている所で、
エルヴィンを部屋に通すと彼は「後はよろしくお願いします」
と言ってナナシの作業を譲り、自分の荷物を纏めに掛かった。

ハンジには勿体無いくらい気遣いの出来る男だなと微苦笑し、
エルヴィンはもうほとんど纏められた私物を
トランクに詰める作業を始める。



最低限の物しか持たないナナシの荷物は本当に少なかった。


あっという間にトランクに詰め終わり、
最後の一つに手を掛けた時ハッとする。

緑色の布の包まれたそれは、エルヴィンがナナシに
強引にプレゼントした犬のぬいぐるみだった。





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