過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第82章 涙
暫くすると、リヴァイとミケが狙撃手を捕らえて来て、
エルヴィンの前に突き出した。
自決出来ないように猿轡を噛ませ、
両腕を縛ったままエルヴィンの前に跪かせていると、
騒ぎを聞きつけた憲兵団の横槍が入り犯人の身柄を
引き渡せと要求してきた。
それにリヴァイ達は苛立ちを募らせ、舌を打つ。
確かにここは王都で憲兵団の管轄かもしれないが、
狙われたのは調査兵団団長で、捕まえたのも調査兵団だ。
日和見していて今の今まで何もしなかった憲兵団などに
渡してなるものか。
それに仮に憲兵団に身柄を引き渡したとして、
きちんとした取り調べが行われるか疑問だった。
賄賂次第でどうにでもしてしまう憲兵団に信頼は無く、
下手をしたら証拠不十分で釈放してしまうかもしれない。
そういう理由で、この犯人が誰に雇われて
何故エルヴィンを狙ったのか吐かせるまで渡す訳にはいかないのだ。
でないと、身を呈してエルヴィンを守ったナナシが浮かばれない。
犯人を連行して戻ってきた時、ナナシの姿が無い事に
リヴァイ達も気づいていたが、エルヴィンに何があったか問わなかった。
今は聞く時ではないと直感で思ったからでもある。