過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第82章 涙
ナナシが撃たれて瀕死の状態だった事。
そのナナシが誰かに連れて行かれた事。
エルヴィンはハンジを一瞥しただけで何も言わなかった。
無言の答えを受け取ったハンジは泣きそうになるのを堪え、
エルヴィンの怪我の治療を開始する。
普通に立っているがエルヴィンも出血が多いので、
万が一の事があってはならないと応急処置だけでも急いだ。
ナナシのお陰で銃弾はエルヴィンの腕を掠めただけで済んでいるので、
摘出手術の必要は無い。
・・・本当にエルヴィンを守ったんだね、ナナシ。
ハンジはエルヴィンの傷を縫合しながら、
ナナシの無事を祈った。