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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第82章 涙









次に目が覚めた時にはもうツクモとナナシの姿はなく、
地面に夥しい血痕のみが残されているだけだった。

エルヴィンが目覚めたのを皮切りに、
ハンジや周囲にいた人間も催眠術を解かれたように
目覚め始め、一体何が起こったのかと一様に呆然とする。


エルヴィンは奥歯を噛み締めた後、
ゆらりと立ち上がり調査兵団の兵士達に号令を出した。


「狙撃手の確保を急げっ!仲間がいるならば全員捕らえろっ!
市民の安全確保を最優先、怪我人がいる場合は医療班へ連れて行け!
各自警戒を怠るなっ!」


エルヴィンの号令に我に返った兵士達はそれぞれの役割を思い出し、
散っていく。

涙を流していたのが嘘のような毅然とした態度は、
調査兵団団長のもので・・・、目の前にいたハンジは息を呑み、
その姿を凝視した。

そして先程まで血溜まりで横たわっていたナナシの姿が
無いのを再認識すると、右腕と左太腿から血を流している
エルヴィンに説明を求める。


エルヴィンに確認せずとも何が起こったかハンジにはわかっていたが、
それでも誰かに確かめたかったのだ。





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