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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第81章 凶弾










「――――ナナシーーーっ!!!」


その場に崩れ落ち、夥しい量の血を吐くナナシに
駆け寄ったエルヴィンは、馬車の影にナナシの身体を
移動させ狙撃手が何処にいるか探す。

発砲音に気づいたリヴァイ、ミケ、ハンジ達も駆けつけ、
どこからの狙撃か探していたが、エルヴィンを仕損じた犯人は
撤収しようとしているだろうと朦朧とする意識の中で
ナナシは思った。

ナナシは重く感じる腕を上げ、狙撃手の位置を指差し教える。

今からならまだ犯人を確保出来るはずだ。

ナナシの指す方向を見たリヴァイとミケは巨人に対峙する形相で、
狙撃に警戒しながら犯人確保に走って行った。




残ったハンジとエルヴィンは撃たれたナナシの傷の具合を
診ようと服に手を掛けたが、ナナシは治療を拒むように
服を掴んで離さず、緩く首を横に振る。

撃たれたのが胸と腹部なので二人は顔面蒼白になりながら
治療を急ごうとしたが、ナナシは頑として譲らなかった。



彼らとの契約の一つ・・・
『ナナシの身体を誰も見てはならない。瀕死の状態に陥っても
治療など施そうとして服を脱がさない』が、
今に当たるのだ。




エルヴィン達もそれは覚えていたが、
今目の前でナナシが瀕死の状態なのに、
それを承服する事は出来ない。

しかもエルヴィンを庇って撃たれたのだ。



エルヴィンはギリリと奥歯を噛み締め、叫んだ。





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