過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第80章 すれ違い
「兎も角、寄付した方への追及は無しでお願いします。
それと寄付金の受け渡しは祖父の喪が明けてからでも
よろしいでしょうか?」
「はい、それはそちらにお任せ致します」
「では、それは念書として貴方に渡しておきますので
保管をお願いします」
「わかりました。調査兵団へのご寄付、誠に感謝しております。
ご婦人にもそうお伝え下さい」
アルフレッドは曖昧な笑みを浮かべながら去って行った。
残されたエルヴィンは手に入れた念書の額を見ながら、
寄付されたお金をどのように使うか算段を始める。
壁外調査費に回すのも良いが、
予てから資金難で頓挫していた巨人捕獲用兵器を作る方に
回すべきだろう。
巨人が捕獲出来たら、ハンジの研究費用として使うのも良い。
突然降って湧いた幸運に、エルヴィンは時間を忘れ、
宿屋に帰ったのは夜がかなり更けた頃だった。