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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第80章 すれ違い











「・・・この額を・・・?」

「はい」


目の前にいる青年は平然と言ってのけるが、
提示された金額は壁外調査が二回出来るかもしれないくらい
巨額のものだった。


貴族と言えど年若い青年が寄付するには大き過ぎる金額に、
何か裏があるのではないかと考えていると、
アルフレッドは「実は・・・」と寄付の経緯を語り始めた。


「つい先日祖父が亡くなりまして、多くの遺産が分配されました。
その中で遺産の受け取りを拒否された方がおりまして、
『自分はいらない。どうしてもと言うなら調査兵団に寄付しろ』
と仰ったんです。祖父はその方に多大な御恩を受けておりましたので、
それに従ってその方に分配されるはずだった遺産を
調査兵団へ寄付するように言って亡くなりました」


俄には信じがたい事情にエルヴィンは暫し言葉を失ったが、
遺産の受け取りを拒否した奇特な人物に興味が引かれた。


「その調査兵団へ寄付するように仰ってくださった方は、
どちらの・・・?是非直に会ってお礼を述べたのですが・・・・」


エルヴィンの申し出にアルフレッドは困ったように笑った。


「その方は多分貴方にお会いしたくないと思いますよ。
自分からの寄付だと知られるのが嫌だと仰っていました」

「しかし・・・このような多大な寄付を頂いておきながら・・・」

「あなた方調査兵団が頑張ってくれれば、
彼女はそれで満足するみたいです」

「『彼女』・・・という事はご婦人ですか?」


自分の失言にアルフレッドは「しまった!」という顔をしたが、
咳払いをして気を取り直すと「えぇ、まぁ」と答えた。





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