第80章 すれ違い

公衆の面前で振られたカレンは、その場で泣き崩れた。

そうやって振られただけで悲劇のヒロインを気取る女性は
嫌いなんだ、と心の中で思いながら、
エルヴィンは泣いている彼女に見向きもせず、
屋敷の主の元へ向かい再度謝罪する。



エルヴィンを巡って女性同士が揉めたせいで、
コレクションに甚大な被害を受けてしまった屋敷の主は
さぞ怒っているだろうと思ったが、意外にもあっさり許してくれた。


どうやら賠償請求はメレンドルフ卿やベッカー商会にするらしく、
今回の事件で二人の顔に泥を塗る事が出来そうなので、
溜飲が下がる思いのようだ。