過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第80章 すれ違い
散々、物を壊されたというのにこの屋敷の主の妻や、
賛同者の婦人達はナナシにとても好意的だった。
ナナシが他の婦人を庇ったのが良かったのかもしれない。
それよりも
「ナナリーさんがどれだけスミスさんを愛しているか伝わってきたわ」と、
うっとり頬を染めて言われた事に、エルヴィンの胸は熱くなった。
ナナシはどんなに自分が罵られても相手にしなかったのに、
エルヴィンの事がちょっとでも絡んだ瞬間言い返したのだ。
それはつまり、まだ脈があるという事ではないだろうか?
宿に帰ったら、きちんとナナシと話し合う必要があるかもしれない。
エルヴィンを嫌いだと言う癖に、庇ってくれるその真意を・・・・。
メレンドルフ夫人とその妹、カレンは家の者が迎えに来るまで、
別室で軟禁させて貰うことにしたらしい。
二人を別室に連れて行く時、エルヴィンの姿を見たカレンが
泣きながらエルヴィンの胸に飛び込んで来て、
必死に訴えた。