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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第80章 すれ違い












宿屋に着き部屋に戻ろうと一階を横切ると、
宿屋の一階にある酒場にいたハンジ達がナナシの惨状を見て
大慌ててでやってきて傷の手当てをしてくれた。


酒を飲みたいだろうから手当てくらい自分で出来ると固辞したものの、
彼女達は恐い顔をしながら「放っておける訳ないでしょ!」
と言って甲斐甲斐しく世話を焼く。

エルヴィンの見立て通り、出血の見た目とは違い傷は浅く、
もう治療の必要も無さそうなくらい傷は塞がっていたが、
ハンジ達は念の為消毒し絆創膏を貼った。


一体何があったの?
エルヴィンはどうしたの?


そう矢継ぎ早に尋ねられたので、
ナナシは自分が問題を起こしてしまった事だけを告げ、
それ以外は口を噤んで何も言わなかった。


その様子を見て、ハンジ、リヴァイ、ミケ、ナナバは、
ナナシが随分無口になってしまったな・・・と物悲しくなる。


以前なら人の目を見てハッキリと物を言い、
自信に満ちた態度で相手と接していたはずなのに、
最近のナナシは伏し目がちで所在なさ気に一人でいる事が
多い気がした。


ナナシが自分達(特にエルヴィン)と距離を置きたがっている事に
気づいているが、その彼自身が辛そうにしているので
心配になってしまう。

ただ構い過ぎると逃げてしまうので、
ハンジ達はナナシとの距離感をなかなか掴めないでいた。




ナナシを同室のモブリットに任せ、
リヴァイ達はエルヴィンの帰りを待つことにした。


怪我をしたナナシを一人で宿に返すとはどういう事なのだろうか?


ついこの前まで、愛を囁きまくって過保護に接していたのに、
拒絶されてからのエルヴィンはナナシに冷た過ぎる気がする。

ハンジはジョッキの酒を一気に飲み干し、
荒ぶる感情を必死に抑えながらエルヴィンが帰ってくるのを
待ち構えた。






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