過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第79章 女の戦い
奥の間で女性達が何やら騒いでいるようだと、
調査兵団の賛同者達が気付き始めた頃、
使用人の一人が慌てた様子でやってきた。
「大変です、旦那様。奥の間でメレンドルフ夫人が暴れています」
「何!?」
この屋敷の主が驚いた声を上げたと同時にエルヴィンは
椅子から立ち上がった。
「ご助力致します」
「あぁ、スミス団長。頼むよ。女性が取り乱すとは一体何があったのか・・・」
主の問いに使用人は言い辛そうにしながらも、その原因を口にする。
「それが・・・メレンドルフ夫人がスミス様のご婚約者様に
『スミス様と別れろ』と仰ったらしく・・・そこから口論となり・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
その場の空気が一瞬凍ったのがわかり、
エルヴィンは主に深々と頭を下げ謝罪した。
「ご迷惑をお掛け致しまして、大変申し訳ございません」
「・・・いや、悪いのは君じゃないだろう・・・・多分」
どんな状況でそうなったのかわからないので主が言葉を濁していると、
お茶会を主催していた主の婦人が
「多分ではなくてスミスさんもあの子も悪くないわ」と
怒りの表情でやってきた。
どうやら一人逃げてきたらしい。
彼女のお陰で騒ぎの原因と経緯を知る事が出来た。