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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第79章 女の戦い









「逆に問わせて頂きます。
もしも貴女の妹さんがエルヴィンに嫁いだとして・・・
その身一つで何が出来ますか?」

「・・・何ですって?」

「親の権力や財力しか持たないか弱い女性が、
調査兵団団長の妻として相応しいでしょうか?」


今までメレンドルフ夫人しか見ていなかったナナシの眼が、
エルヴィンに惚れている妹へ向いた。


「貴女は、エルヴィンに夢を持ち過ぎているようですが
現実はそう甘くありません。貴女は壁外調査後の調査兵団を
見たことはありますか?」

「・・・・い、いえ・・・ありませんが、
落胆なさっているというのは理解して・・・」

「貴女はわかっていません。理解したいなら一度見てみると良いです。
まぁ、エルヴィンに嫁げば否が応でも、
『調査兵団団長の妻として』怪我人の手当てや死体の搬送も
しなくてはならなくなりますが、貴女にそれが出来ますか?」


ひっ!と小さく悲鳴を上げた妹を援護するように
メレンドルフ夫人はナナシに噛み付く。


「何故妹がそんな事しなければならないのっ!?
そんなものは兵士か使用人がやれば良いのよっ!」

「調査兵団は慢性的な人手不足と資金不足で、
やれることは身内が全部やらなければなりません」

「そんなのお父様がお金を出して・・・っ!」

「どんなに儲かっていようとも資源やお金は無限にはありませんよ」


メレンドルフ夫人は一瞬グッと押し黙ったが、
閃いたとばかりに明るい声を上げた。




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