過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第79章 女の戦い
相手にするのも面倒臭いし、
エルヴィンに問題を起こすなと言われているので無視していたが、
ここまでやられたのだから我慢する必要はないだろう。
ナナシは売られた喧嘩を買うことにして、
ニッコリと笑顔を向ける。
「ご用件は何でしょうか?」
ナナシの言葉にメレンドルフ夫人は一瞬ムッとした顔をしたが、
ナナシがやっと相手にしたので気を取り直して本題に入る。
「エルヴィン・スミスに付き纏うのをやめなさいと注意しに来たのよ。
身分を弁えず、こんな所までノコノコやってきて恥を知りなさい」
「お言葉ですが、付き纏っているのはエルヴィンの方で、
私は彼に請われて此方に参りました。・・・それで他にご用件は?」
「・・・・・言い方を変えましょう。エルヴィン・スミスと
早く別れて頂戴。調査兵団団長には相応しい身分の妻が必要よ。
私の妹なら彼を色々な面でサポート出来るわ。
それに比べて貴女は彼に何を与えられるのかしら?」
「さぁ・・・?私はこの身一つしか持ち合わせておりませんので・・・」
「なら・・・」
「ですが、彼はそんな身一つの私が欲しいと言ってくれました。
権力の後ろ盾も財力も無い私で構わないと」
ナナシの言葉に婦人達は頬を紅潮させやや興奮気味に悲鳴を上げ、
メレンドルフ夫人は眉間に皺を寄せた。
他人から言わせればそれは熱烈な愛の言葉だ。