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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第79章 女の戦い










貴族の屋敷はどこも同じく贅の限りを尽くされていて、
庶民の血税はこんな所に消えてしまっているのかと憂鬱になる。

それでも今日は愛想良くしなければならないので、
エルヴィンに倣って顔に笑みを貼り付けた。

一見すれば仲睦まじいカップルに見えるかもしれないが、
ここ数日まともに会話もしていない。



エルヴィンが調査兵団の賛同者と談笑しながら、
存続の危機を訴えると彼らからどこの誰が調査兵団を
排斥しようとしているかという情報がいくつか得られ、
その一味の一人がメレンドルフ卿だった。

この前の懇親会で騒動の原因を作ったベッカーという商人の長女の嫁ぎ先で、
誘拐事件で人質に捕られた次女を無傷で救出したものの、
エルヴィンが(ベッカーの)愛する娘を放置して
怪我をしたナナシに付き添ってばかりいたので、
ベッカーが激怒していたらしく、その話がメレンドルフ卿にまで伝わり、
妹が可愛い姉も(エルヴィンと)ナナシを快く思っていないという事だった。


それで調査兵団諸共潰そうというのだから、良い迷惑である。




賛同者もベッカーとメレンドルフ卿には良い思いを抱いていないらしく、
調査兵団を潰したくないというよりは、彼らの顔に
泥を塗りたいというのが本音だろう。

エルヴィンはそんな賛同者の本心に気づきながら、
従順を装い彼らの顔を立てる。

ナナシは隣で静かにその様子を見ていたが、
賛同者の婦人達から
「殿方の話はつまらないから向こうでお話しましょう」
と言われてしまい断ることも出来ず、エルヴィンと離されてしまった。





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