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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第78章 王都出張









風呂から出てモブリットと交代すると、
ナナシは荷物整理を始めた。

夜会に着るドレスを持ってくるように言われていたので、
皺にならないようにハンガーにかけておく必要がある。

エルヴィンにドレスを買って貰った際、
いつの間にか何着も作らせていたらしく、
つくづく用意周到な男だなと思う。



これからも夜会に参加させられるのだろうか?
偽りの婚約者として・・・


ナナシはトランクの中から犬のぬいぐるみを取り出し、
優しく撫でた。

荷物になるものは持ってくるべきではないとわかっていたが、
最近ずっとこのぬいぐるみを抱いて眠っていたので、
これがないと眠れないような気がして持って来てしまった。



思えばあれがエルヴィンと出かけた最初で最後だった。

こんな事になるなら、
もっとエルヴィンと出かけるべきだったかもしれないと考えて、
はたと気付きその思考を振り払うように頭を振る。


・・・いや、思い出は少なければ少ないほど良いはずだ。


悶々と考えていて、モブリットがお風呂から出ていることに
気づいたのは少ししてからだった。

彼は人好きする笑顔で「可愛いぬいぐるみですね」と無邪気に
話題を振ってきた。


「意外です。ナナシさんはそういう物を持たないと勝手に
思っていました。あ、別に悪い意味で言った訳ではなくですよっ!?」


わたわたするモブリットが必死に場を和ませようと
してくれているのがわかるので、ナナシも少し表情を和らげる。




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