過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第78章 王都出張
一週間の日程の内、昼間はほぼ毎日全兵団の会議が行われるらしく、
王都は兵士で溢れかえっていた。
他兵団もごった返す中、馬車から必要な荷物を降ろし運んでいると、
不意に同乗していた女性補佐官がナナシに向かってポツリと呟いた。
「もう団長はあなたに飽きたみたいね」
彼女はそれだけ言うとエルヴィンの後を追い、
ナナシから離れていった。
補佐官は美人な部類に入る女性なので、
エルヴィンと並んでいるとお似合いのカップルに見えなくもない。
ナナシが呆然と二人の姿を見ていると、
背後から「おい」とリヴァイから声を掛けられた。
「ぼさっとしてると置いてかれるぞ。俺達はエルヴィンの護衛だ」
「そうだな」
御者からトランクを受け取ったリヴァイと共に
エルヴィンの後に着いて行くと、
同じく会議に参加するハンジやミケが彼に合流したのが見えた。
「エルヴィン、今日の会議って予算関係?」
「予算もそうだが、調査兵団の存続についても議題に上がるそうだ」
「何それっ!?」