過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第77章 それぞれの想い
自分はもうエルヴィンと共に歩めなくても、
彼が幸せならそれだけで充分だとこの一週間
自分に言い聞かせ続けてきた。
でも、エルヴィンが自分以外の女性に
あの情熱に濡れた瞳を向けている想像すると、
心が痛くて必死に脳内からその想像を追い払った。
エルヴィンと添い遂げる資格が無いと知った瞬間、
自分の気持ちに気付くなんて、とんだ笑い話である。
これはきっと報いなのだ。
今まで散々沢山の人々を不幸に追いやってきた自分への・・・。
ナイルに喜んで身を引くと言っておきながら、
自分で言った言葉に傷ついてしまった。
そもそも自分はエルヴィンの恋人でも婚約者でもないのに、
何を言っているのだろうかと。
ナイルは泣き続ける自分に困惑しながらも、
根気良く接してくれている。
エルヴィンは本当に良い友人を持ったものだなと思えた。
自分がエルヴィンの前から消えた後も、
きっとナイルやミケ、リヴァイが友人として彼を支えてくれるだろう。
何の心配もない。
何の心配もせず、自分は逝ける。