過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第77章 それぞれの想い
「・・・もしも、エルヴィンのお父様が私の探し求めていた方だったなら
・・・・私はエルヴィンと別れようと思っています」
「・・・・っ!?」
思いがけないナナシの告白にナイルは絶句した。
何故と問う前に、ナナシが続きを話す。
「私は、その方達に許されざる罪を犯してしまいました。
その罪深い私がエルヴィンと共に歩くなど到底許されません。
これはエルヴィンの為でもあるのです。彼が幸せなら、
私は喜んで身を引きます。
そもそもエルヴィンはモテるでしょう?良い女性を見つけて
子供を作って幸せな家庭を築いて欲しいんです」
ナナシは心からそう思っていた。
ナイルにもそれが伝わったらしいが、彼の困惑は更に増す。
「あんたがどんな罪を犯したかは知らんが、
エルヴィンと幸せになるならあんたでも良いじゃねぇか」
「・・・・・・・・・私の身体では子供が産めません」
そっとお腹に手を当て自嘲気味に笑ったナナシに、
ナイルは「しまった!」と思った。
女性の地雷的話題を踏んでしまったのだ。
言葉に詰まっているナイルを尻目に、
ナナシは懇願するように言葉を紡いだ。
「お願いします!エルヴィンの幸せを奪いたくないんです。
きっと私がいれば彼は不幸になってしまう。・・・・だから」
どうやら、最近自分の涙腺はとても脆いらしい。
ポロポロと涙を流しながら、ナナシはナイルにエルヴィンの事を頼んだ。