過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第76章 お主の事が大嫌い
これ以上狂わせないようにエルヴィンから離れていかねばならない。
この真実もエルヴィンに知られる訳にもいかず、
彼がソロモンの孫であるなら、何としても隠し通したい。
愛されて育つはずだった父親が自分のせいで養子に出され、
その幸せを狂わせてしまったのだ。
孫であるエルヴィンにもその余波はきているはずである。
それにエルヴィンがソロモンの孫なら、
手段を選ばずナナシに『本当の契約』を結ぶように
強要してくるだろう。
化け物の力を借りた巨人の撲滅・・・。
ソロモンはそれをやろうとして人間に殺されてしまった。
人間を救うのはやはり同じ人間でなければならないのだ。
ソロモンと同じ過ちをエルヴィンにさせる訳にはいかない。
一番良いのはすぐにでも自分がエルヴィン達から離れる事だろうが、
きっとエルヴィンはそれを許さないだろうし、
調査兵団を『人間として』強化する事が、
ナナシにとっての贖罪になり得るのだ。