過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第76章 お主の事が大嫌い
「・・・・エルヴィン・・・」
エルヴィンが買ってくれた犬のぬいぐるみを抱き寄せて、
彼の名前を何度も紡ぐ。
ずぶ濡れで帰った自分に「おかえり」と笑顔で言ってくれた時、
泣きたくなるほど嬉しかった。
色々気を遣ってくれる彼にあのまま甘えてしまいたかった。
お風呂に入っている間も、
これからエルヴィンにしなければならない仕打ちを思うと、
胸が張り裂けてしまいそうなくらい辛かった。
いつの間にか、エルヴィンに心を許しすぎていた自分に気づいて、
酷く後悔した。
ソロモンの孫だと知らなくても、自分はエルヴィンが・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・」
もう甘えたりしない。
もう不用意に近づいたりしない。
もうあの温かい手に触れたりしないから、
どうかエルヴィンが幸せになりますように。
自分にはもう彼と共にいる資格は無いのだから・・・・。