過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第76章 お主の事が大嫌い
エルヴィンが隣室に向かったナナシの後ろ姿を恨めしげに
見つめていると、リヴァイから冷やしたタオルを渡されたので
それで殴られた頬を冷やす。
「・・・で、どうしたんだ?まさかてめぇらが
殴り合いの喧嘩を始めるとは思わなかったぜ」
リヴァイの問いに、エルヴィンは深く溜息を吐いて「同感だ」と零した。
「訳がわからなかったんだ。最初は普通に話していたんだが、
突然ナナシからおまえが大嫌いだと言われてしまった。
契約は守ってやるが不用意に近づくな、不愉快だと・・・」
「それで何故取っ組み合いに?」
ミケが心配そうに尋ねてきたので、エルヴィンは
「つい我を失った」と本音を吐露する。
「ナナシは・・・他人を傷つけるような言葉を本気で
投げるような子じゃない。それなのに、それを彼の口から
言わせた第三者がいると直感で感じた。今日一体誰と会って
何を話したのか問い質そうと、ソファに押さえつけたら
本気で抵抗され殴られてしまった・・・」