過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第76章 お主の事が大嫌い
「言えっ!本当の事をっ!君はそんな事を言う子じゃない!
一体誰に唆されたっ!?」
「誰にも唆されてはおらんっ!いいから退け!でないと、
此方にも考えがあるぞ」
「この体勢で何が出来ると・・・っ」
エルヴィンが言い終える前に、ナナシは空いていた片腕で
ソファの足を壊し、それによってバランスを崩したエルヴィンの頬を
拳で殴りつけた。
エルヴィンが殴られた衝撃で頭をふらつかせている間に、
ナナシは彼の下から這い出て部屋を出て行こうとしたが、
一発殴られただけでは彼は退かなかった。
「・・・っ!待て」
「触れるなと言っているだろうっ!?もっと殴られたいのかっ!?」
突然始まった喧嘩の音に気づいたリヴァイ達が、
隣室から駆け込んできてナナシとエルヴィンを抑えつける。
エルヴィンの左頬は赤く腫れており、唇も切っているようだった。
ナナシは無傷だったが、エルヴィンを冷たい眼差しで
見つめているその姿はいつもの彼では無い。