過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第75章 残酷な真実
「残念ながら、ソロモン団長の息子さんは二十五年程前に
亡くなられました・・・」
「・・・・・・・・そ・・・うか・・・・・・・」
希望が打ち砕かれ落胆するナナシに、
コンラッドは「ですが」と続ける。
「その息子さんにも男の子がいました。私に孫が出来たように、
ソロモン団長にもお孫さんが・・・」
「そ、それは本当かっ!?其奴はどこにいて、
今何を生業にして暮らしておるのだっ!?
ひと目で良いから遠目からでも・・・っ!」
ナナシは喜色を浮かべながらコンラッドに詰め寄り、
早く教えろと催促したが、コンラッドは浮かない顔で
ナナシを見つめた。
「・・・・貴女が会いたいという気持ちはよくわかります。
ですが、よろしいのですか?そのお孫さんは貴女の
『原罪そのもの』でもありましょう?深く関われば、
副長自身も傷つくことになります」
「・・・・・・・・・・・」
コンラッドの言う通りだ。
自分はソロモンを誑かし、人間の女との間に子供を作らせ、
死に追いやってしまった。
そもそもソロモンと『契約』してしまった事自体が既に
ナナシの『罪』であり『原罪』で、その直系の孫の存在も
ナナシの『罪』を具現化したものなのだ。
・・・・・それでも・・・・