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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第75章 残酷な真実










「ソロモン団長は副長しか見ていませんでした。
団長の子を身籠った女もそれはよく知っていましたが、
団長を愛していました。ならば、せめて愛する男の子供を
授かろうと思ったのでしょうが、貴女の存在が大き過ぎました。
女は貴女に子供も取られてしまうのではないかという恐怖に駆られ
少々病んでおりました。心配した女の両親が子供を死んだ事にして、
密かに養子に出したそうです。
それなら貴女に取られる心配は無いだろうと、
という浅はかな考えによって・・・。結果、
子供が居なくなった女は発狂し自殺しました。
貴女に取られたと勘違いしたまま」


ナナシは己の犯した罪に身体を震わせた。
自分はソロモンの子供が健やかに育っていてくれていれば
それでよかった。

子供の前には姿を見せるつもりも無かったし、
影からこっそり見守れれば・・・と考えていたのだ。


そんな浅はかな考えのせいで、
どれほどの人の人生が狂ったのだろうか?


呼吸が乱れて、思考が上手く回らない。


「・・・それで・・・・その子供は、今どこに・・・?
・・・息災・・・なのか?」


回らない思考の中でもナナシが気になったのは、
子供の安否だった。

マリアが陥落した際、無事だっただろうか?
飢餓や病気になっていないだろうか?


ソロモンの息子が無事でいてくれているなら、
ナナシはこれからもこの世界に希望を見出だせると思った。




だが、コンラッドが与えた答えは残酷なものだった。






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