過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第75章 残酷な真実
独白を終えたコンラッドは、
アルフレッドに身体を支えながら身を起こし、
ナナシに手を伸ばす。
「最早許して頂きたいなどとは申しません。
ですが、最期のお願いです。私を殺して下さい副長!!」
縋るように伸ばしてくるコンラッドの手をナナシは掴まなかった。
今心の中では確かにコンラッドに殺意を覚えている。
だが、目の前の老人を殺して何になるのだろうか?
沈黙したまま微動だにしないナナシに、
コンラッドは絶望的な表情を浮かべて「何故です?」と問う。
「何故殺してくれないのですか?私は貴女に裁かれるために
生きてきたんです。どうか・・・」
「すまんが、私は死にたがっておる人間を殺してやる程
お人好しでは無い。死にたければ勝手に死ね」
そう言うと、ナナシはもう用事は済んだとばかりに
コンラッド達に背を向け、扉に歩き出した。