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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第75章 残酷な真実









「私達『第二部隊』は、『第一部隊』に比べて、
圧倒的に弱く役に立たない・・・それがとても辛かった。
ソロモン団長や副長がいくら別け隔てなく接してくれていても
劣等感は消えませんでした。思えば、そのような弱さが
奴らに付け入る隙を与えたのでしょう。
王の側近達が言ったのです。
『迅鬼狼には反逆の恐れがある危険な組織だ。
我らは迅鬼狼を解体したい。解体した暁には、
おまえらを貴族として取り立ててやるから、協力しろ』と。
その時私達が『誰も殺しはしない』という奴らの嘘に少しでも
気づいていれば、ソロモン団長も迅鬼狼の皆も
死なずに済んだかもしれないのに・・・その言葉を信じて、
団長が処刑されるのを呆然と見ていました。
こんなはずじゃなかったのに・・・と」


独白に近いコンラッドの告白は、
覚悟していたはずのナナシの心をズタズタに引き裂く。


「副長も『代行』と呼ばれ、必死に団長の助命嘆願を
なさっていたのも知っていたのに・・・私達は恐くて
何も出来ませんでした。副長達とコンタクトを取ろうと
試みたことはありましたが、他のメンバーに止められ・・・
私はそれに従ってしまった・・・・。取り返しのつかない罪を
犯した私は、その後『迅鬼狼』が全滅したと同時に
貴族になっていました。血に塗れた貴族という称号は苦しくて・・・
でも、地位があれば大抵の事は何でも出来て、
授かった子供が病に掛かった時も無理を押して
医者に治させる事も出来ました。庶民には出来なかった事が
貴族になった瞬間出来てしまう快感に酔いしれた私は、
恥を承知で今まで生きてきました。・・・・ですが、
副長に再会出来た今日が私の命日だと覚悟しています」





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