過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第75章 残酷な真実
「お主の孫に・・・慕ってくれている子供に、
この話を聞かせても良いのか?」
きっとアルフレッドは、コンラッドを英雄視しているだろう。
それなのに、その英雄が主君を裏切ったなどという話を
聞かせても良いものなのだろうか?
コンラッドが老い先短いのなら、
綺麗な記憶のままでいさせた方が良いに決っている。
アルフレッドはナナシの視線を受け、
祖父とナナシを交互に見遣り困惑しているようだったが、
少しすると意を決したように言った。
「・・・僕は・・・祖父が昔どんな事をしたのか全てを聞きたいです。
例えそれが非道な行いだったとしても、受け止めたい。
だって僕はこの人の孫だから・・・っ!」
貴族にしておくには勿体無いくらいの気迫で言ったアルフレッドに、
ナナシは冷たい目を向けながら
「この話の続き次第ではお主も殺す事になるかもしれないが、
それでもここにいたいのか?」
と尋ねると、彼は震えながら「それでもです!」と言い切った。
ナナシはこれ以上押し問答しても意味が無いと判断し、
コンラッドに続きを話すよう促す。
コンラッドは自分が犯した罪とその重荷を孫に背負わせる事に
少し躊躇ったようだったが、観念したように話し始めた。