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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第75章 残酷な真実









通された部屋はとても広い所だったが、
主の心を表すように薄暗く、心無しか死臭のようなものが
漂っていた。

部屋の中央に置かれた大きなベッドに近づくと、
昔の面影を無くした老人が静かに横たわっていて、
ナナシは沈痛な面持ちでコンラッドに話し掛ける。


「―――コンラッド。起きておるか?来てやったぞ」


声を掛けるとコンラッドは静かに瞼を持ち上げ、
ゆっくりした動作で眼球を動かしナナシを見つめた。


「副長・・・お呼び立てした上、このような格好の儘で
申し訳ありません」


副長、副長・・・お久し振りです。
私は老いて枯れ木のようになってしまいましたが、
貴女は変わらず美しいままですね。


涙浮かべて語り掛けてくるかつての仲間に胸が締め付けられる。

アルフレッドが甲斐甲斐しくコンラッドの涙をハンカチで拭っていた。


彼は本当にコンラッドを慕っていて、
・・・そして唯一の理解者なのだろう。


「副長、ソロモン団長や皆には謝っても謝っても
どうしようもないくらいの罪を私達は犯しました」

「・・・『私達』というのは、ソロモンと一緒に
王都に行った時のメンバーの事か?」

「そうです。私達は・・・」

「待て。まだそれ以上言うな」


ピシャリとコンラッドの言葉を遮ったナナシは、
静かにアルフレッドを見据えた。






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