過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第74章 過去へ続く道
それを聞いたリヴァイはギリリと奥歯を噛み締めた。
ナナシが飛び降りたと思われる地点は、自分達が散ったのと
ほぼ同時刻。
しかも此方からは完全に死角の位置で飛び降りたときたっ!
最初から尾行が読まれていたのだ・・・っ!
ナナシの有能さをわかっていたはずなのに、
この体たらくとは・・・とリヴァイは歯噛みする。
このままここにいても埒が明かないので、
グンタにエルヴィンへの伝令を頼み、
リヴァイは他の班員と共に走り出した。
闇雲に駆けても仕方無いので、ナナシが飛び降りた地点から
再捜査するしかないだろう。
あのナナシが足跡を残すようなヘマをするはずないが、
ダメ元でやってみるしかない。
馬上で雨の降りそうな空を見上げながら、
エルヴィンの勘が当たっていたのかもしれないなと考える。
こうまでして自分達を撒こうとしたのだから、
よっぽどの理由があったに違いない。
―――俺達は、おまえにとって信頼に足る仲間になれねぇのか?
ナナシ・・・
リヴァイは、自分達とナナシの距離感に複雑な思いを抱きながら、
馬を走らせた。