過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第74章 過去へ続く道
「何故、尾行する必要があるんだ?」
「愚問だ。何度も言っている通り、ナナシに接触してくる輩が
いるかもしれないからだ」
「・・・・そうかよ」
リヴァイの言葉をバッサリ切り捨てたエルヴィンが
脳内に蘇り、舌打ちしながら目の前を走る馬車を注視する。
今回尾行役として選抜されたのは、
リヴァイとリヴァイ班4名だった。
何もここまで精鋭を集めて尾行する必要は無いだろう、という
リヴァイの真っ当な意見は素気無く却下された訳だが、
リヴァイ班の面々も何故自分達が立体機動装置まで着けて
ナナシを尾行しなければならないのだろうと
疑問に思っていたものの、団長命令なので黙って従う。
胸騒ぎがするというエルヴィンの言葉に、
リヴァイは心の中で「またナナシ病が始まったか」と思ったが、
エルヴィンが巨人と対峙するような表情で言っていた為、
彼の賭けに乗っかることにしたのだった。