過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第73章 心臓は何処?
声も上げられない程驚愕していると、青年は微苦笑した。
「その反応から察するに『副長』で間違いありませんね。
初めまして、僕はアルフレッド・フォン・ヘルフと申します。
コンラッドは僕の祖父です」
「・・・・・・祖父・・・・」
そうだった。
コンラッドが生きていたとしても青年の姿であるはずがないのだ。
それを失念する程、アルフレッドと名乗った青年は、
仲間のコンラッドとよく似ていた。
「祖父の言った通り、本当に僕は祖父と瓜二つみたいですね」
屈託なく笑うアルフレッドに、今更ながら警戒する。
アルフレッドは自分の事を『副長』と言ったのだ。
どこまで『迅鬼狼』について知っているかなど知らないが、
心を許して良い相手ではないだろう。
生き残った数少ない仲間の中には過激思想の持ち主もいて、
ナナシの驚異的な戦闘力を利用しようという輩もいたのだ。
ナナシの空気が変わったことに気づいたアルフレッドは、
神妙な面持ちになって「実は貴女を探していました」と話し始めた。