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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第73章 心臓は何処?











通された部屋は、ダンスホールに引けを取らないくらい豪華な部屋で、
陶器や絵画、彫刻などが数多く展示されていて興味が無い者でも
圧倒されるものだった。


「これは、かの有名な画家の物でして―――」


伯爵のうんちくが始まったので、それを聞く振りをして
室内に目を配らせ『心臓』の気配を探る。

もしも、ここに『心臓』があるならば感知出来るはずだ。


だが、ナナシのセンサーは全くと言っていいほど
『心臓』の気配を感じ取れなかった。


「・・・・どうだ?ナナシ」

「・・・感じぬ。もしかしたら、この部屋には無いのかもしれない」


若干気落ちしているのが声色で伝わってしまったのだろう。

エルヴィンはうんちくを言い終わった頃を見計らい、
伯爵に話し掛けた。


「伯爵の博識とその価値を見破る眼力はこの素晴らしい
コレクションの数々を見れば一目瞭然ですね。
庶民の私もとても勉強になります」

「君は煽てるのが上手いな、スミス君」

「煽てるだなんて滅相もございません。・・・・ところで、
伯爵は大層珍しい物をお持ちだとお噂でお聞きしたのですが・・・」


エルヴィンがそう話を振ると、他の貴族達も
「自分もその噂を聞きましたぞ」と声を上げる。


見たいとせがまれれば、自慢するため見せたくなるのが人情で、
エルヴィンがそれ以上言わなくとも伯爵は上機嫌で
『それ』を見せてくれた。


カーテンの向こうにポツンと台が置かれており、
そこには瓶に閉じ込められた人間の『心臓』があった。





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