過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第73章 心臓は何処?
取り敢えず何もしないでいると悪目立ちしてしまうので、
エルヴィンとダンスを踊りながら意識を集中させ、
『心臓』がどこにあるかを探った。
ナナシは『心臓』の近くにいれば、
その存在を探知する事が出来る。
だが、屋敷が広すぎるせいか探し物はナナシのセンサーには
引っ掛からなかった。
「・・・・『心臓』がどこにあるか、わからん」
「そうか・・・。やはり伯爵に少々探りを入れる必要があるようだね」
ダンスを止め、また伯爵の所へ行くと、
丁度伯爵が自慢話に花を咲かせているところだった。
伯爵の周囲には同じ貴族、金持ちの商人が集まっており、
それぞれが口々に自らの逸品を自慢しているようだ。
自分は自慢出来るような物を持っていないので、
その輪には入れないと思われたが、話術が巧みなエルヴィンは
上手く煽てながら自然にその輪に入っていった。
こういう時エルヴィン程頼もしい人間はいないと思う。
次第に話が伯爵のコレクションルームへ行こうという話になり、
ちゃっかりエルヴィン達も同行する事に成功した。