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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第70章 心からの微笑み








ナナシにとって『心臓』を取り戻す事が第一で、
それを成してしまえば『異世』に帰ることになる。

昔・・・ソロモンと共にあった頃は、
そんな夢物語を語った覚えもあるが、
60年以上壁外への進出が出来てない現状ではそれも難しいだろう。

だが、もしかしたら・・・目の前にいるこの男だったら、
ソロモンの果たせなかった事を成し遂げられるかもしれない・・・。

そう思うと適当にあしらう事が躊躇われ、
ジッとエルヴィンを見据える。




「・・・・・・・・・・・」



―――金髪に蒼い瞳・・・・



ナナシは空を見上げ、遠い過去に思いを馳せた。
何故か自然と口が軽くなり、自嘲めいた笑みを浮かべる。


「もう・・・果たせない夢を・・・・遠い昔に見た」

「・・・どんな?」

「海に・・・行きたかった。彼と青い海が見てみたかった」


ナナシの住む『異世』に海は存在するが、
『異世』の海は血のように赤かった。

空も海も赤くてナナシは好きになれず、
この世界なら空も海も青くて綺麗だと知ってこの世界にやってきたのだ。

そこでソロモンと出会い、一目惚れして巨人と戦う事になったのだが、
その夢を果たせないまま彼は逝ってしまった。

きっと一人で見る青い海はそこまでの感動を与えてくれないだろう。

ならばいっそ見ない方が良い。


ナナシがそう言おうと口を開いた所で、
エルヴィンは真剣な顔をして言い切った。





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