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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第70章 心からの微笑み








「それで・・・私の心の奥底を暴いた君は、これからどうするんだ?」


エルヴィンは口許に僅かな笑みを浮かべながら伏し目がちに尋ねる。

彼が何を思ってそう聞いているのかわからないナナシは
正直に答えた。


「別にどうもしない。お主が何を考えて戦っているかなど
私には関係無いからな。何を支えに生きるかは人それぞれだ。
私が口を挟むべき事ではない」

「そうか、それを聞いて安心したよ」

「此方もだ。私の言いつけを守ってマインゴーシュを
隠し持っているお主に刺されたくはないからな」

「ふふ・・・君を刺したりなんかしないよ」


エルヴィンは短剣を隠し持っている事を否定しなかった。

優雅にコーヒーを飲んでいる姿はうっかり見惚れるくらい格好良いが、
カップを持っていない左手がテーブルの下にあり、
いつでも抜刀出来る態勢でいる事は容易に想像出来る。


エルヴィン・スミスは温厚そうな顔を貼り付けているが、
かなり物騒な人間だ。

目的のためには手段を選ばず、どんな犠牲も厭わない。

ナナシであっても害になると思えばすぐに殺そうとするだろう。

それが、ナナシの分析だった。


「話は変わるが、もしも巨人がいなくなって
壁の外に行けるようになったら、君はどうするつもりなんだ?」


突然振られた話にナナシは目を瞬かせた。


「・・・・どうする、とは?」

「外の世界で何かしたい事は無いのか?」


エルヴィンは穏やかに微笑みながら、
ナナシの答えを待っているようだったが、
ナナシはすぐに答えられなかった。




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