• テキストサイズ

過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第70章 心からの微笑み










「・・・・君の言う『安心した』要素が全くわからない」

「『人間とは大義名分無しに化物と戦い続けることは出来ない。
出来るとしたら、それは最早人間では無く巨人のような化物である』
・・・と、昔言っていた男がいた。私もそう思っている。
大義名分と目的が合致している場合が多かったのでお主も
そうだと思い込んでいたのが悪かった。
酷くアンバランスに見えたお主の謎が解けて、
お主も人間だったのだと安心できたのだ」

「・・・・・・・・・」


殺気に満ちた蒼眼が今尚ナナシを射抜くが、
ナナシはそれをものともしなかった。

エルヴィンの地雷を踏んだというのは理解していたが、
いつもの地雷とは違ったせいもあるのかもしれない。

いつもは此方の秘密ばかり暴かれて良い思いをしていなかったので、
エルヴィンの秘密を暴くのが少し楽しかった。

だが、ナナシはそこまで意地悪ではないので追及は
ここまでにしておく。



ナナシがコーヒーを啜ってエルヴィンから向けられる鋭い視線から
逃れていると、彼は一つ息を吐き「参ったな・・・」と零した。


「君は昔から様々な意味で私の心を掻き乱すね。
それは計算か何かか?」

「計算出来たら、今ここにおらんわ」

「それもそうか。君はお人好しで天然な所が最高に可愛いよ」

「・・・・・・・・・・・・」


思わず飲んでいたコーヒーを吐きたくなってしまった・・・。

人の心を掻き乱す計算をしているのは、そっちだろうっ!?
貶しているのか口説いているのかどっちなんだっ!?


先程までの殺気が嘘だったかのようにエルヴィンの纏う空気は
静かなものになっていて、ナナシは本当によくわからない男だと思った。





/ 1001ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp