過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第69章 デートしよう!
「質の悪い冗談を言ってすまなかった。
私は本当に嬉しかったんだ。このぬいぐるみが
私に似ていると言ってくれた事が・・・」
「・・・普通は嬉しいはずなかろう?これは犬のぬいぐるみだ。
私がお主と犬を同一視していると取らないのか?」
「そう取られていても私は構わないよ。それでも・・・
嬉しかったんだ」
穏やかに笑いながらそう言うエルヴィンをナナシは不思議に思った。
何がそんなに嬉しかったというのか。
「・・・何がそんなに嬉しいんだ?」
「秘密だよ」
人差し指を口に当てながらウィンクまでされ、
ナナシはエルヴィンのイケメンっぷりに視線を逸らした。
こういうキザな事をしても様になるのだから、質が悪い。
多分、今の質問には答えて貰えないのだろう。
エルヴィンは肝心な事は教えてくれないのだ。
「そろそろ昼食を取ろうか。お腹空いているだろう?
良い店を知っているんだ」
ほら、やっぱり話を変えてしまった。
ナナシも隠し事が多いが、エルヴィンも相当だと思う。
この話は蒸し返しても答えを貰え無さそうなので、
ナナシはエルヴィンの提案に乗って彼に着いて行った。