過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第68章 役に立つには・・・
―――暫くの後、
冷静さを取り戻したエルヴィンが本題に入るため咳払いをした。
阿吽の呼吸で幹部達はそれまでの空気を払拭させ、
真剣な表情でエルヴィンへ顔を向ける。
「さて・・・先程ナナシがミケに良策があるような事を言っていたね?
それを聞かせて貰いたい」
自分は良策があるなど一言も言っていないのに、
エルヴィンは信じて疑わないらしい・・・。
というか、座った席順が失敗だったとナナシは思っていた。
少しでもエルヴィンから距離を取ろうと
向かいのソファに座ったのが間違いだった。
彼から強い眼差しで見られるのは居心地が悪いし、
両隣にはリヴァイとミケが座っている為、
逃げることもままならない。
・・・まぁ、逃げようとは思わないけど。
大きく溜息を零したナナシは、
「さっきの・・・荷馬車護衛の件なのだが・・・」と話し出す。
身を乗り出してくるエルヴィンに対し、
ナナシは若干目を泳がせながら
「妙案かどうかはわからないが・・・」と前置きをして、
このメンツになら話しても構わないだろうという判断を下した。