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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第68章 役に立つには・・・






ミケを部屋の隅にグイグイ追いやり、
ミケの嗅覚がどこまで利くか尋ねると、
彼は少し思案するような・・・困ったような顔をして
ナナシをジッと見据える。


「風向きにもよるが・・・無風なら最高で10~15メートルくらいだ」

「そうか、成程・・・」


上手く風に乗れば、その倍・・・いや三倍くらいの距離でも
探知出来るという感じか。

だが、逆に最も索敵機能が欲しい雨の日では
ほぼ使い物にならなくなるだろう。

豪雨や風雨、霧が立ち込めれば視覚も嗅覚も
使い物にならなくなるはずである。


何かを考え込むように黙ったナナシに、
ミケは首筋に鼻を寄せスンスンと匂いを嗅いだ。

もういつからかは忘れたが、ミケからは日に何度も
匂いを嗅がれるので慣れてしまい今更抵抗はしない。


「俺の鼻以外の方法で何か良策があるのか?」

「んー・・・」


鼻を首筋に埋めるような体勢のまま耳元で囁くミケは、
腰を屈めているので思わず「身体きつくないか?」という
ツッコミを入れたくなるが、ナナシの考えは今
「自分の探知能力を明かすべきか」という事で頭がいっぱいだった。

あまり『化け物』という事実やそれを連想させるような行動は
控えた方が都合が良いという考えからだが、
ここで壁外調査を失敗させても後々面倒になるだろう。

ナナシは調査兵団に入ってからも変わらず(ある意味)消極的だ。

能力が外部にバレた場合の事を考えると自分にもだが、
調査兵団にも害が及ぶ可能性が高いので保身に走るしか無いのだ。







「―――わっ!?」

考え事をしていたら突然誰かに身体を抱き上げられ、
高くなった視界から周囲を見ると、困った顔をしたミケと
リヴァイとハンジの姿が目に映った。


「随分と楽しそうな会話をしているね、ナナシ。
是非私も混ぜてくれないか?」


肩に担ぎ上げられている体勢で聞こえてきたのは
エルヴィンのバリトンヴォイスで・・・・、
有無を言わさないまま団長執務室まで連行された。





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